骨粗鬆症の治療
骨粗鬆症ってどんな状態?
骨粗鬆症とは正常な状態と比べて骨密度と骨質(骨の内部の微細構造)が低下、劣化することによって骨の強度が低下する状態です。
どんな人が骨粗鬆症になりやすい?
骨粗鬆症が起こりやすい人は高齢者、特に閉経後の女性です。
また骨粗鬆症の発生には以下の様な疾患、生活週間、家族歴も関与します。
- 糖尿病
- ステロイドの治療を受けている
- 甲状腺、副甲状腺などの内分泌疾患
- 動脈硬化性疾患(高血圧など)
- 喫煙者
- 血縁関係者に骨粗鬆症の人がいる、または大腿骨や背骨の骨折歴がある人がいる
以上の様な人は潜在的に骨粗鬆症が進行している可能性があります。
自覚症状、自分の体の変化で骨粗鬆症に気がつける?
骨粗鬆症と診断される様な骨密度の低下のある人でも無症状であることがほとんどで、転倒や軽微な外傷で骨折をして初めて骨粗鬆症である人が多いのが現状です。
そのため閉経後の女性はもちろん、70歳以上の男性でも特に上に書いてある疾患、生活週間がある人は定期的な骨密度検査が推奨されます。
自分で気がつけるポイントは以下の3つです
- 腰背部痛が治らない
- 身長が低下した(特に2㎝以上の低下)
- 背骨が曲がっていると人に言われる
骨粗鬆症の検査、診断はどの様にするのか?
1骨密度検査
70%以下じゃなければ大丈夫?
骨粗鬆症健診や人間ドックで骨密度が低下していると言われた人で成人女性の70%以下と診断された方は骨粗鬆症と定義されます。また80%以下は骨量減少と診断されますが血縁者の中に大腿骨頸部骨折の経験がいらっしゃる場合は骨粗鬆症と診断されます。
2腰椎レントゲン
腰椎のレントゲンで古い骨折があるか、骨の内部が薄くなっているか(骨梁の減少と言います)を評価します。本人が自覚していない骨折、いわゆる「いつのまにか骨折」がないかを調べます。
3採血検査
採血検査で血液中のカルシウムや骨の酵素であるA L Pなどを測定します。また骨代謝マーカーという項目を調べることで骨の代謝がどうなっているかを調べます。
骨を新しく造る力が衰えているのか、骨がどんどん分解されているのかを評価することができ、治療薬の選択につながります。
治療方法は?
骨密度の低下の程度、年齢、過去の骨折の有無、家族の骨折の有無、採血結果から適切な治療を判断します。
- 日常生活指導、食事療法
- 内服薬治療
- 注射治療
があります。どの治療が必要か医学的判断を行い、患者さんの希望を確認して治療いたします。
コラム
1「骨密度検査で若者と同じと言われました」は大丈夫?
よく骨密度は問題ないと言われたという話を耳にします。ここで大事なのはどこの部位で骨密度を測っているか?ということと過去の背骨や大腿骨頸部の骨折歴です。
どこの部分で骨密度を評価されましたか?
骨密度の測定部位は、手首、踵、腰椎、大腿骨などがあります。この中で手首や踵
では評価が不十分になることがあります。最も評価として有意義なのは背骨と大腿骨と言われています。健診などで手首などでしか測定されていない方には正確な骨密度評価を行なってみることを推奨します。当院では最新の骨密度想定装置があり正確な評価が可能です。過去に背骨、大腿骨頸部骨折をしている
今までに背骨や大腿骨頸部骨折をした方は骨密度の数値いかんにかかわらず骨粗鬆症と診断することが骨粗鬆症ガイドラインで定義されています。過去に骨折をしている方は骨粗鬆症ですので適切な評価を行い治療につなげられることをお勧めします。2生活習慣病と骨折との関係は?
結論から言いますと生活習慣病の罹病期間が長い人、未治療であったり治療が適切になされていない人は骨がもろくなりやすく骨折が起きやすくなります。
生活習慣病は以下のものがあります
- 糖尿病
- 慢性腎臓病(CKD)
- 高血圧
- メタボリック症候群
骨の強度は「骨密度」と「骨質」で決まっています。「骨密度」は測定が可能ですが、もう一方の「骨質」は一般的な検査での評価が難しいのが現状です。そのため最近の研究では「骨密度」が高くても生活習慣病を抱えている人は注意が必要です。
3骨をもろくする様々な原因
- 喫煙、お酒の飲み過ぎ
- カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの栄養摂取不足
- 運動不足
- 加齢
- 閉経
- ステロイド薬の使用
いずれも生活習慣病を起こす要因ですね。